みはしのブログ
こんにちは、京呉服みはし、店長の平原将吉です。
群馬県沼田市では毎年8月3日、4日、5日に沼田まつりが開催されます。
京都の祇園祭の系列ということもあり、「ぎおん」がなまって「おぎょん」と呼ばれてもいます。
上之町、中町、下之町、馬喰町、坊新田町、鍛冶町、この六カ町が氏子となる須賀神社のおまつりごととして始まり、そこに榛名神社、沼田市の商業祭が加わる形で、今の沼田まつりになったのですが、人口5万人弱の小さな町に、この3日間で20万人以上の人出で賑わい、どこにこんなに人がいたんだと毎年思ってしまうほどです。
お盆も近いですが、「お盆にあわせて帰省する」というよりは、「沼田まつりに合わせて帰省する」という人も少なくはないと思います。
「一年を三日で過ごす」なんて言葉も生まれちゃうほど、地域の沼田まつり愛は、かなりお熱いのです(*´ω`*)
さて、今回は「箪笥(たんす)に眠るお宝」について考えてみたいと思います。
実は先日、「近所にきもの屋さんもあるのだけれど、自分が知っていて、信頼できる方が良いから」ということで桐生からわざわざ私を頼ってご来店していただいたお客様がいらっしゃいました。
地元の方に信頼していただきご利用下さることは当然嬉しいことではあるわけですが、遠方よりわざわざお越し下さるのも、本当に嬉しくもあり、この信頼にこたえるためにも、これからも精進していかないとなと、背筋が伸びる想いでもあります。
ご来店の目的は「母の着物を着られるように直したい」というものでした。ちょっとは織った感じだと裄が短く、直して着られるようになるのだろうか、という感じだったそうで、その時に私のことを思い出して下さったそうです。
折角なので、ということで、気になる着物は色々とお持ちくださいと伝えたところ、色無地を2枚、紬を6枚程お持ちいただきました。
いつもそうだし、今回もそうなのですが、お持ちいただく箪笥に眠っていた着物は、どれも今ではあまり見られないような素敵なものが多く、今新しく買おうと思ったら結構な値段するだろうなという「良い物」が多いですね。もちろんある程度厳選して持ってきていただいているのでしょうが、「他にどんなのがあるのかなぁ」「見てみたいなぁ」という欲が出てきちゃいます(笑)
言い過ぎということもなく、お宝だなぁと感じます。
そうです、箪笥の中には、お宝が眠っているのです。
着物を着てみたいと思ったら、まずはこの箪笥に眠るお宝を物色してみることをおすすめします。
そりゃ自分用に新品のめちゃんこオシャレな着物をあつらえられたら最高でしょうが、そうするには、やっぱりそれなりにお金もかかります。「着物は素人で分からないから」とおっしゃるお客様も多いですが、実際見比べてみると、やはり良いものに目が行く方が大半を占めます。着物のことを良く分からなくても、良いものかどうかは案外見分けがついちゃうものなんですよね。
どうしてもオシャレな人ほど良いものに目が行っちゃうので、安価なものでとりあえずって意外と出来なかったりするのではないでしょうか。
そんな、良いものに目が行くお洒落さんは、やはり「箪笥に眠るお宝大作戦」がベストではないかと思います。
「自分の家に箪笥が無い」という方もご安心ください。実家や親せきを頼ると、誰かしら持っている場合が多いですし、沢山着物を持っている方は、着てもらえる人を見つけると、喜んでプレゼントしてくださる方がとても多いです。
自分は着なくなっちゃったけど、思い出もあるから処分できない・・・でも着てもらえるのであれば、自分も着物も本望、そんな風に感じるのではないかと思います。
お直しやクリーニングが必要な場合が多いですが、そのまま着ることが出来るようなものもあったりします。
お金がかかることもありますが、新品をあつらえて作ることと比べたら段違いに安価に抑えられます。
みはしでは、裄直しでは2,500円(税別)~となっており、長くする場合はすじ消しという作業が入る場合が多いので+αかかってはきますが、それでも万単位の金額ではありません。
一度解いて仕立て直しをするにしても、状態にもよりますが、5万円くらいを目安にしていただければOKかと思います。
もちろん、着物に興味がない人にとってこれは価値がないかと思いますが、着物が好きな人、着てみたい人にとっては、非常に価値ありますよね。
そして、単に安く上がるという金銭的なメリットだけではありません。
お母様が着ていた着物であれば、その想いを引き継ぐことにもなるわけです。
お母様が御存命であれば、とても喜ばれると思います。
何となく気持ちが優しくなったり、
何となく昔を思い出したり、
何となく背筋が伸びたり・・・
着物は単なる衣装ではなく、日本の文化であり、日本人の心です。
だからこそ時代を経て、世代を超えて着用することが出来る衣装なのだと思います。
このような衣装は他にありますでしょうか。
今の日本人は着物を着ていないのだから、日本の文化と言えないのではないか
こんなご指摘も出てきてしまうのはとても悲しいですね。
日本人の着物に対する意識を変えるためにも、箪笥に眠るお宝をどう考えるのか、この課題に向き合っていきたいと思います。