みはしのブログ
2019年11月07日
振袖
皆さまこんにちはフォトスタジオギフトの永井です。
カメラとアシスタントを担当しております。
11月になり紅葉も高い山から平地の方へ降りてきて肌寒い毎日がつずいています。
12月の声を聞く前にタイヤも冬用に交換しなければと考えている今日この頃です。
今、スタジオギフトでは成人式の前撮りを中心に撮影しておりますが、私が初めてスタジオ撮影をした頃と今とではまさに隔世の感があります。
現在の撮影ではデジタルカメラを駆使して当店でも1時間の撮影で90~100カットの撮影をし お客様に撮影後すぐに写真をセレクトルームでお選びいただいております。
すぐに画像が見られるので振袖を着られたお客様に色々なポーズで写真を見ていただき、その場で選んでいただくことができます。
初めてスタジオで振袖を撮影した時は、中判カメラでの撮影でもちろんフィルムを使った撮影でした。
120フィルムというもので私たちが使っていたものは6×7(ロクナナ)と呼ばれるもので6cm×7cmに露光されるものでした。
撮り終わると帯封をして現像に出すわけですから、今のような機動力を生かした写真はなかなか撮れませんでした。
デジカメの登場は結構古いのですが、広く普及するようになったきっかけはカシオ計算機が初めて
液晶付のカメラを発売した後からだと思います。
その後はご存知のとおりフィルムのカメラはほとんど見なくなりデジカメに切り替わって現在に至ります。
さらにスマートホンに高性能カメラが搭載されいつでもどこでも撮影ができるように なり写真がより身近になりました。
インスタグラムなどを見ると綺麗な写真や面白いアイディアの写真が掲載されています。
写真を楽しむ文化が以前にも増して広がったと感じています。
同時に、そうした日常のスナップ写真が多くなるとその対比としてスタジオで撮影した振袖や家族の写真も本当に良いなと思えてくるようになりました。
以前お客様が大正や昭和初期の写真をお持ちになることがありました。きちんと撮影した写真はこんなに綺麗なまま残るのかと思いました。
当スタジオのキャッチフレーズにもありますように「ミライに輝く『イマ』を贈ろう」のように年月が経てば写真の価値が上がってくるものではないかとおもいます。まるでワインみたいですね。
ところで、これを言うと年齢がばれてしまうかもしれませんが、振袖撮影に欠かせないものにポーズがありまして、思い返してみれば生まれて一番最初に振袖のポーズらしきものを見たのは、少年時代に収集していた切手でした。
憧れの切手の一つに菱川師宣作の「見返り美人図」というのがありまして、当時は写楽の大首絵(上半身の浮世絵)や葛飾北斎の富嶽三十六景や歌川広重の東海道五十三次などがあり、見返り美人図の他にも「蒲原」や『月に雁』という切手も欲しくてたまらなかったのを憶えています。
こうした浮世絵は永谷園のお茶ずけのおまけになっていて友達同士で北斎の絵の何が好きかなんて語っていたようにおもいます。
後年、伊豆のMOA美術館で北斎の版画を見たときには皆んなで興奮したものでした。
カードには「ルノワール」「ゴッホ」「ゴーギャン」なんかもあったようで それぞれが日本の浮世絵の影響を受けている点で共通しています。
一例を挙げればゴッホは浮世絵の模写などしているのは有名な話ですが、『タンギー爺さん』と言う作品では背景に着物を着た浮世絵が描かれています。
着物がkimonoとして認知されているのはこうした『印象派』と言われる画家たちの作品が要因のひとつなのかもしれませんね。
そんなわけで見返り美人図ですが、絵を見てみると茶色の無背景に緋色の着物を着た女性が無理な体勢で後ろを振り返っています。
まるでスタジオ撮影のようです。これが美人?と突っ込みたくなるのはさておいて、顔が目立ち過ぎないせいか着物や帯に目がいってしまいます。
髪は玉結び 吹前髪(ふきまえがみ) 着物の柄は『花の丸』帯は『吉弥結び』というらしいです。
帯は当時の女形役者上村吉弥(かみむらきちや)と言う人気役者が帯の両端におもしをいれて 両端を垂らして舞台で使い、そしてそれが当時大流行したらしいです。こう言う流行りって今も昔も一緒なんですね。
袖は短いですが振袖です。長い振袖は江戸時代後期かららしいです。これは当時の最先端のおしゃれだったようです。(ググってみました)
構図は随分と頭の上が空いています。確かに背景一杯に女性を描くと平凡な構図になるような気もします。
この美人図は人をメインにしているのか振袖をメインにしているのか不明ですが、左右の襦袢が大きく見えているので、歩いている時に不意に後ろを振り返った瞬間を多分作者のイメージで描かれたのではないかとおもいます。
そうすることで躍動感が出て振袖や帯がよりいっそうクローズアップされている気もします。
スタジオ撮影においても実際にはこんな仕草はしないよなというポーズをお願いしています。
ロケ撮影ではジャンプをする場面もあったりします。 主役は振袖を着た女性なのですが、振袖も綺麗に写るようなポースで撮影しています。
撮影は少々疲れますが皆さん楽しんで撮影されていると思います。
歴史に名を残す作者とスタジオ写真は同じレベルでは語れませんが、着物文化の一端に関わることでは繋がっているのかなと思います。
20年後30年後であっても撮影しておいて良かったと言われるようにスタッフ一同頑張ってゆきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
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